普段から、天命を意識して仕事をしている人はそれほど多くないのではないでしょうか。
“こんな仕事がしたい”
“こんな職場は嫌だ”
“仕事を実現したい”
等、仕事に対する自分の望みや条件ばかり意識して働いている人が多いのではないでしょうか。
西郷隆盛が生きた幕末は、天から与えられた使命を果たして死ぬということがごく自然にとらえられていた時代でした。
天命というものを意識して皆が生きていた。だから明治維新のようなこともできたし、その後の日本の発展も成し遂げられました。
「敬天愛人」とは、西郷隆盛が非常に好んで使っていた言葉で、彼に心服していた旧庄内藩士たちが西郷の教えとしてまとめてた「南洲翁遺訓」にも載っています。
「道は天地自然の物にして、人はこれを行ふものなれば、天を敬するを目的とす。天は人も我も同一に愛し給ふゆゑ、我を愛する心を以て人を愛する也。」
意味は単純明快で、道は天地自然のものであり、生きる道というものがあるとすれば自然の摂理に従ったものであらねばらならない。天は人を愛し生かしてくれているのだから、私もその愛してくれる気持ちをもって人を接しよう、ということです。
つまり、「天を敬い、人を愛する」という言葉の意味そのままであるが、「天」は「天命」を意識しているのです。
天命を意識し、そのために自分の人生はあると考えていた時代に比べると、現代は自分の生活だけで精一杯になってしまっているように感じます。
どこかで、天と自分との一対一において恥じない生き方をするという意識を持つべきではないでしょうか。その意識が西郷隆盛のように、人間の器を大きくし、人としての魅力を磨いてくれるのです。
人生は「大きな使命」を果たすためにあります。「天命」に恥じない生き方をしましょう。